冒頭の書き方に悩む人向けの記事です。この記事では世界観や背景から入る冒頭の書き方を紹介しています。
世界観・背景説明型って?
- 良く使う作品:個性的な世界観が舞台の作品、現代とは違う世界観が舞台の作品。主人公が過去に何か衝撃的なことがあった作品。
- あまり使わない作品:現代と似た世界観が舞台の作品。平凡な作品
- 特徴:人以外にも使える。いわば世界や舞台設定の自己紹介。
世界観型は上記の通り、現代とは世界観が異なる舞台設定の作品で良く用いられる手法です。
理由は、最初に読者にこういう世界ですよー。こういう背景がありますよー。と説明した方が後々の展開が読みやすくなる・受け入れやすくなるから。です。
だから特に説明をする必要がない現代が舞台の作品では、世界観から入るやり方はあまり使いません。
ちなみに、アニメや漫画では説明に合わせて現実ではあり得ない描写を入れることが多いですね。そういう描写を入れると一発で「あっ、こういう世界なんだ」って視聴者や読者に分かってもらえます。
現代舞台作品でも使うとしたら背景説明型の方ですね。
過去にこの組織ではこういうことがあってとか。この人物は過去の出来事でトラウマがーとか宝くじが当たったーとかそんな感じです。自己紹介型と似ている部分がありますが、書き方的には世界観とよく似ているのでこちらの方に分類しました。
商業作品例
商業作品で分かりやすい例を挙げると『ONE PIECE』、『名探偵コナン』、『北斗の拳』、『オーバーロード』、『コップクラフト』などでしょうか。
ワンピースは必ず最初に大航海時代が幕を開けたーと説明入りますし、名探偵コナンは劇場版の場合、毎回目が覚めたら…と背景説明が入ります。北斗の拳も核の炎につつまれた!は有名ですよね。
多少順番が前後したり種類が違ったりしますが、どれもあーこういう世界なのね。と一発でわかる。簡単に分かる説明が序盤に入っています。
逆に言えば、特異な世界は分かりやすい説明を入れないと読者が何これ…? 状態になるので、万人向けの作品にしたいなら必ず世界観や背景の説明をしないといけません。
昔は内容から察してくれ系の作品も結構多かったですが、最近は他にも娯楽コンテンツが色々あるので、簡単に理解出来ない作品は早々に切り捨てられます。比較的最近…?の作品だとグランベルム辺りでしょうか。もちろん見てくれるコアな人もいますが、大多数の人は簡単に理解出来ないコンテンツにそこまで時間を割いてくれません。
今回挙げた作品はどれも参考になると思うので、見たことがない人は序盤だけでも良いので見て下さい。
具体例1
2035年。人類は突如として海の中から現れた、真の地球の支配者を名乗る生物に侵攻を受けた。その生物は上半身がサメ、下半身が鱗を纏った人間という半魚人というべきかのような見た目をしており、人間より遥かに力強い上に科学力も優れていた。
人類は必死の抵抗を試みたが、圧倒的力の前になすすべもなくサメ人が近寄らない唯一の大陸である南極大陸に逃げ込んだ。
それから十数年後。とある科学者の発案によりサメ人に対抗する武器『デストロイシャークハンマー』を得た人類が、地球の覇権を取り戻すために反抗を開始する――!!
解説
何かB級かZ級映画のプロローグとかあらすじっぽくなっちゃいましたが…。こんな感じだと思います。地球を舞台にする場合は、はっきり〇年!と書くか何となく年月がわかる描写を入れましょう。
絶対必要かと言われるとそうではないですが、その方が読者に優しいです。
後々の描写から想像させたい場合やボカしたい場合は、大まかな表現にするか入れる必要はありません。今回2035年としたのは、あんまり未来過ぎると人類が火星とか月に本格的な拠点持っててそうで、ちょっと都合が悪いからですね。だから具体的な数字を書きました。
あとは物事が起っただけだと『あっそうですか…で?』と読者がなってしまうので、何かが発生が発生したらこうなりましたよーという対応の部分まで必ず入れましょう。
サメ人…?にしたのは、普通の魚人だとつまらないかな。と思ったからです。でも多分最近「シャークネード」関係の動画とか見た記憶があるので、その影響を受けているかもしれません。まあ創作界隈はそんなものです。
具体例2
これは人類が生活圏を地球から宇宙へと切り替えた遥か末来の話である。
末来ではハイ・ディメンションサッカー、通称HDサッカーと呼ばれる、宇宙が無重力であることを活用したサッカーを三次元的な動きにした競技が空前の大ブームとなっていた。
コロニー生まれコロニー育ちのヤンチャ少年クトラ・G・レンブラントは未来のHDサッカー選手となるため、今日もコロニーの壁に穴をあける勢いで一人練習に励んでいた。
解説
このタイプは具体的に年月書くとちょっとややこしくなるタイプだと思ったので、あえてボカしました。
競技については何とかボールっぽいですが、気にしないで下さい。宇宙も厳密には無重力ではないようですが、細かいこと書くと鼻につく描写になると思ったので普通に書きました。
競技名を早々に通称にしたのは正式名称が長ったらしくて、初見の読者が覚え切れないと思ったからですね。
少年の場所をコロニーにしたのは、その後の流れや競技的にその方が都合が良いからです。
地球は論外ですし、火星とかも『ん?』ってなりますからね。
具体例3
「ねえねえ、語り部様。語り部様」
活発そうな見た目をした少女が、民族衣装を着た白髪の老婆を揺すり起こす様にして話しかける。
「なんだい、ミンチェ?」
「話の続き聞かせて!」
「はて…何処まで話したかね」
「高いところから大きな岩がドーンって落ちてきたところ!」
少女は腕をめいいっぱい伸ばしながら説明する。
「ああそうだったね…… あれは私がミンチェくらいの歳頃だった時じゃ。大きな岩…破滅の星石が上から降ってきて、地上にある家や集落を全部壊してしまったんじゃ」
「お家が壊れたからミンチェ達は、土の下に住んでるの?」
「いいや、あの青い空が暗闇に包まれて、人の住めるような環境では無くなったからじゃ。ミンチェは地上を見たことがないから、わからんかもしれんがの」
老婆はミンチェの頭をそっと撫でる。
「ミンチェ達、また地上に戻れるかな? お空みたい!」
「お主がもっと大きくなった頃には、きっと戻れるようになっとるじゃろうて」
「ほんと!? 今日から頑張って一杯ご飯食べて早く大きくなるね!」
――――
それから十年後。
解説
登場人物に背景説明させるパターンです。その場で適当に考えて描いたので、細かい描写とかはスルーして下さい。
このパターンは、世界がある日を切っ掛けに大きく変わった時に使いやすい。もしくは使うことが多い手法です。
童話系の映画に多いかもしれませんね。
質問形式の方がやりやすいので、大人と子供が基本的には適役です。
もしくは何かを夢見る少年が、意地悪な少年に夢をからかわれつつ流れで説明するやり方もありますね。
メリットは、こういう感じの説明じゃなく会話形式なので、苦手な人でもわりかし頭にスッと入りやすいことですね。例えるならゆっくり解説動画系みたいな感じでしょうか。
物語の冒頭以外にも何か説明する必要がある場面で使える手法なので、覚えておいて損はないと思います。
まとめ
世界観・背景説明型は、登場人物に説明させる手法を除けばあらすじに近い感じの書き方になります。
複雑な世界などそこそこ丁寧な説明が必要であれば、もっと丁寧に書いても構いません。むしろ小説であれば、もっと丁寧に書く事が多いですね。逆に漫画とかはあくまで絵の補完として、言葉で軽く説明する形がスッキリして良いかと思います。
冒頭に書いた通り、割と向き不向きがはっきりとしたタイプの書き方です。
ですので、このやり方を使う場合は本当に自分の作品に合っているか考えてから使うようにして下さい。
他にどんなパターンがあるか気になる方は小説や物語の冒頭の書き方・切り出し方の記事をご覧ください。