冒頭の書き方 自己紹介型

アドバイス

小説や物語の冒頭の書き方 自己紹介型

 冒頭の書き方に悩む人向けの記事です。この記事では自己紹介型の冒頭の書き方を紹介しています。

説明

  • 向いた作品:一人称、一話完結、すぐその人物の人となりを理解して欲しい場合。道中で説明する時間がない作品。
  • 向かない作品:登場人物より舞台や世界に注目してほしい作品

 上記の通り、物語の冒頭を自己紹介から始める場合は、一人称もしくは一話完結などすぐにその人物の役柄を理解して欲しい場合に良く使います。

 小説では、一人称かつ結構主人公の個性が強い作品に用いられるイメージがあります。アニメや漫画では一話完結など、悠長に主人公もしくは今回主役となる人物の紹介をしている暇がない場合に用いられることがありますね。

 

 自己紹介型の冒頭の場合、すぐに急展開もしくはその人物に特異な行動を取らせる手法が無難です。その理由は、そうしないと読者が飽きて期待外れだ。と感じてしまうからです。

 動画で例えると、今からこの人がとんでもない事をします! と説明しているのに、大したことしないじゃんみたいな感覚ですね。

 ですので、注目して欲しい状況でないなら、自己紹介型の始め方はあまり使わない方がいいです。

 自己紹介型は比較的簡単な手法ですが、理由があって採用していることを理解しておいて下さい

具体例1

 俺の名前は山田 太郎(やまだ たろう)、35歳。独身フリーター。今時の日本なら珍しくもない持たざる者の一角を担っている。

 だが一つだけ俺にも他人に誇れるものがある。それは大食いだ。

 生まれてこの方、満腹というものを経験したことがないし、家や学校、職場でも俺より食う奴を見たことはない。だから一度はフードファイターというものを目指そうと思った気持ちもある。だけどすぐ諦めた。

 勝てないから? そんな理由じゃない。やれ危ないだとか食べ物が勿体ないだとか、外野の横槍が多すぎて安定して食える職業じゃないと思ったからだ。後は見れる容姿じゃないっていうのも、ほんのちょっぴりあるかもしれない。

 だがそんな俺にも安心して戦える舞台がつい最近出来た。

 それは――

解説

 自己紹介+主人公が特異な能力持ちの冒頭例です。

 名前に関しては、読める名前だと思ってもフリガナは必ず入れましょう。読めない読者がいた場合、この人の名前どう読むんだろうな。というモヤモヤを抱えたまま読み続けることになります。

 長くなるので途中で切りましたが、主人公の特技は大食い。ということで大食いの活かせそうなストーリー展開に持ち込んだ感じです。ここで注意して欲しいのは、特技や不満の感情を紹介したら必ずその特技や不満を解消する展開を見せましょう

 そうしないと、読者の期待を悪い意味で裏切ることになります。何で説明したんだよって話ですね。すぐに活用しないなら特技ついて具体的に説明せずサラッと流してください。

具体例2

 私の名前は早川 百々子(はやかわ ももこ)。青春を満喫している十六歳の女の子。最近、知的女子を目指してファッション眼鏡を付け始めました。そんな私は今なんと異世界にやってきています!!

「おい、モーコ。先ほどからその薄っぺらい板にブツブツ呟いているが頭は大丈夫なのか?」

 そんな風に失礼な言葉を投げかけるのは、私が異世界に来る原因になったイケメン悪魔のゲオルグ…なんだっけ? 忘れちゃったけど、とにかく失礼で傲慢な奴だ。今も私を荷物か何かみたいに雑に脇に抱えながら飛んでいるし、名前が言いづらいのかモーコなんて呼ぶしホント失礼しちゃう。

 まあ異世界にはこんなもの無いだろうし、百々子様の寛大な心で許してあげなくもないけれど。でも帰ったら傲慢ク…はまずいかもしれないから、傲慢うんち悪魔っていうタイトルで必ずSNSに投稿してやる。

「さっき説明したでしょ。これはスマートフォンっていう…えーと…何でもできる凄い道具なの! まあこの世界にはこんな物がないでしょうから、あんたみたいなヤツには理解出来ないんでしょうけど!」
「ほう。具体的には何が出来るのだ?」
「えっと…遠くにいる人と簡単に繋がったり出来るのよ!」
「通信具か? ……興味深いな。貸せ」
「えっ!? ちょっ、あっ!?」

 馬鹿悪魔が私からスマホを奪い取ろうとする。だけど、ここは不安定な空中。手から滑り落ちたスマホは、私の足の脛にぶつかって不穏な音を発してからゆっくりと眼下にある森の中へと沈んでいった。

「わ、私のスマホがぁ……」

 俺は悪くない。と素知らぬ顔を見せる悪魔の顔を見て、私は早くも異世界へ来たことを後悔し始めた。

解説

 自己紹介+急展開パターンです。

 女の子が異世界来たならイケメンとセットだろうということで、適当に書きました。ベタすぎる展開なので、とりあえず空を飛ばせた感じですね。

 急展開パターンはあまり長々と説明すると、ダレる可能性があります。なので自己紹介はなるべく必要最低限にした方が勢いが維持出来ます。ただそうすると主人公の人となりがよくわからないので、会話メインでどんな感じの人物なのか何となくつかめるようにした感じですね。

 他にも行動や持ち物、所属団体や宗教、見た目であーこういう人物なのかな。というのを読者にわかりやすく表現してあげると良いかもしれません。

まとめ

 多少好みもあると思いますが、自己紹介型は初心者にもやりやすい冒頭の書き方だと思います。自己紹介を活かす展開にすればとりあえず物語が繋がるので、後は割と行き当たりばったりでも何とかなりやすいです。

 ただ初期設定忘れてあっちこっちに目移りすると、何のこっちゃさっぱりわからない話になるので注意して下さい。どんな馬鹿げた展開になろうが主人公がブレなければ、ある程度読者はついて来てくれると思います。

 主人公メインの作品や主人公の個性が強いタイプの作品は、キャラがブレるとあまり良くない状態に陥ることが多いです。状況に影響されて変化するのは問題ありませんが、作者の都合でキャラが変わったと感じるような描写をしないように特に気を付けましょう。

 他にどんなパターンがあるかはこちらの記事をご覧ください。

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