冒頭の書き方 普段の日常型

冒頭の書き方

小説や物語の冒頭の書き方 日常型

冒頭の書き方に悩む人向けの記事です。この記事では普段の日常から入る冒頭の書き方を紹介しています。

日常型って何?

 その名の通り登場人物にとって当たり前の日常から始めるタイプの冒頭の書き方です。

 

  • よく使う作品:日常系、序盤に日常を見せて落差を見せたい作品。
  • あまり使わない作品:日常と切り離したい・見せたくない作品。
  • 特徴:割と何にでも使える

 日常といっても人によって千差万別なので、本当に平凡に暮らしている人もいれば、毎日戦いに明け暮れている人もいるでしょう。もしくは日々生き残りの勝負状態の人もいるかもしれません。

 日常は人によって大幅に異なるので、解釈次第では割と無限大です。

 だから案外どんなジャンルでも割と使える始め方ではあります。

 

 ただ、そういう解釈をするとジャンルが広がり過ぎるので、この記事ではゆるーいとかのんびり、平和なという枕詞が付く日常系について解説しています。

 日常から非日常へ移る、急展開タイプは別の記事で解説する予定です。

商業作品例

 まずは、参考にするためと認識を共有するために、いくつか作品例を挙げたいと思います。

のんのんびより

アニメ(Amazon)

 ジャンルは日常+コメディ+ノスタルジーでしょうか。

 小学校一年生の女の子が主人公の作品です。

 序盤で転校生が来るというイベントはありますが、日常で始まり、日常で終わる感じの作品ですね。

ゆるキャン△

アニメ(Amazon)

 ジャンルは日常+コメディ+趣味でしょうか。

 高校生の女の子たちがキャンプを楽しむ作品です。

 一人の主人公が元々キャンプを楽しんでいて、もう一人の主人公が周りに影響されてキャンプにハマっていくという流れの作品です。

 傾向としてはけいおん!と似ているかもしれません。

共通点と解説

  • どちらも急展開という程ではなく、あくまで日常の延長的な作品。ゆっくり変化する作品。
  • キャラクターの個性が強い

 他にも細かい共通点は色々あると思いますが、上記2点が日常タイプの大きな特徴かと思います。

 いきなり生活が大きく変わるというより、新たな出会いにより徐々に変化していく。という感じですね。

 この辺りは感性の問題もあるので、納得出来ない人は急展開型に分類しても問題ないと思います。

 

 こういう日常系の作品は、展開が不自然にならないよう入学、転校生、知り合い、家族、勘違い辺りを切っ掛けに、主人公やその周囲の人物を徐々に変化させていくケースが多いです。

 世界観は普通ですし、何か強い刺激があるわけでもないので、その分日常系にはキャラクターに強い個性が求められるのも大きな特徴です。

 

作例

 今日から俺も高校一年生か。小学生の頃は高校生どころか中学生になるのもまだまだ先だと思ってたけど、いざなってみると案外あっという間だったな。

「でもこればっかりは小学生から変わんなかったな」

 俺は小学校からの付き合いであるゲーム機のウルトラステーション。通称ウルステを割れ物を扱うような手つきでそっと撫でる。

 ウルステは俺が生まれる前に発売されたゲーム機で、家にあるコイツはもう二十年選手と俺より長生きだ。その間にどんどん新機種が発売されて来年にはウルステ6が出るらしい。だけど家ではまだまだ初代ウルステのコイツが現役選手だ。

「皆、分かってないんだよなぁ。ゲームは見た目じゃなくて中身が大事だってことが」

 俺は、初代ウルステの名作ゲームの一つである幻影酔虎伝2を起動しながら独り言ちる。

 グラフィックが綺麗なことは良い事だと思う。でも今時のゲームは綺麗すぎて、プレイヤー側に想像の余地がないのだ。ローポリやドット絵みたいにあーだこーだ想像する楽しみがない。
 それと極め付きはストーリー進行だろう。次の目的地がマップ上に表示されていることほど、ありがた迷惑な物はない。あれじゃあ冒険じゃなくてただの作業だ。村人全員に話しかけて進行のヒントを得るのが、真の冒険でありゲームのはずだ。そこが最近のゲームはまるでわかってない。

「ゆーた。ソレ、気持ち悪いから止めた方が良いわよ」
「ん? 来てたのか。いつも見てる癖に相変わらず分かってないなぁ。幻酔2は名作中の名作なんだぞ」
「はぁ…そっちじゃないわよ」

解説

 レトロゲー好き少年のお話です。

 パパッと個性的なキャラクターを考えるのは難しいので、個性的な趣味を持っているキャラクターにしました。

 こういうジャンルは同じ趣味を持っているキャラも重要です。

 ですがそれよりも、商業作品例みたいに転校生や真逆そうな生き方をしている人物など、その地域の文化や趣味に疎い人物を用意してあげることで、違和感なく適度な起爆剤を投入することが出来後々の進行を円滑にすることが出来ます

 というか用意しないとただダラダラと日常を続けることになるので、アニメや漫画ならともかく小説ではまず厳しいです。

 漫画やアニメなら絵で魅せることが出来るので、淡々な日常系もアリです。

 ただ、商業作品のように日常+要素1+要素2くらいまで他の何かを足してあげると、比較的多くの人に興味を持ってもらいやすい作品に仕上がると思います。

まとめ

 急展開型との大きな違いはどちらかというと冒頭というよりも、冒頭からの展開の仕方の部分にあります。

 急展開型はガラっと日常が変化してしまうのに対して、日常型はあくまで日常の延長です。

 とはいえ解釈次第ではある意味急展開型と言えなくもないので、人によっては急展開型と纏めてしまっても良いと思います。

 日常型の大きな特徴は、キャラクターで強く引き付ける必要があることでしょうか。気になる世界観があるわけでもありません。やろうと思えば現実の人間でも出来ることが多いです。

 

 だからこそ強烈な個性を持つキャラクターや魅力的なキャラクターで、何かを深堀りするか体験させて読者や視聴者を引き付ける必要があります。

 商業作品で、女子中学生~高校生がメインキャラクターに多いのはそれが理由ですね。リアル風にすると画的に持ちません。

 もっと色々解説しようかと思いましたが、現時点でも日常型の冒頭というより日常系の書き方っぽくなってるので、日常系作品の書き方を解説する時があればその時にガッツリ書きたいと思います。

 

 

-冒頭の書き方
-, ,