第二章からは本格的な物語作りに備えて、物語作りに必要な知識を覚えていきます。
まずは物語のアイデアや題材から。
アイデアや題材は物語を作る上で必須です。
どんなに素晴らしい技量や技術があっても、アイデアがなければ物語を作ることは出来ません。この記事ではアイデアの探し方や作り方、そのヒントになる物などを解説しています。
なお講座内容についてですが、人によって知識に差があると思います。
今の自分にはこの講座は不要だと思う場合は、飛ばし読みするか次の講座内容に行っていただいても構いません。
アイデアや題材がないと物語は作れない
ストーリーを盛り上げる技術力や構成力も大切です。
ただ何よりもまずは、物語の素となるアイデアや題材がないとそもそも話が作れません。
一応漫画の場合、ジャンル次第では高い作画技術と最低限の構成力があれば、物語が陳腐であってもそこまで問題になりません。
ですが小説の場合は、物語がつまらないとかなり厳しいです。
自分の行きたい道を目指す上で、発想力が重要になると思う人は特にこの部分を重視して下さい。
アイデア例
- オッサンが町内のラーメン屋巡りをする話
- 少女が不思議な猫と出会って猫の王国に行く話
雑過ぎない…? と思った方もいると思いますが、最初はこんなもので十分です。
最初から奇抜なアイデアを考えようとする必要はありません。
むしろもっと雑に車の話作りたいなー。じゃあどんな話にしたら面白いかなーと、一つのワードから適当に考えることすらあります。
最初から具体的に思い浮かぶことは稀です。
ですので大抵はこういう曖昧なところから、じゃあどうやったら魅力ある面白い話になるのかなーと考えていきましょう。
構造で考える
字面だけ見ると仕組みが見えづらいです。
なので構造で考えて下さい。
例えば先ほど書いたアイデア例の『少女が不思議な猫と出会って猫の王国に行く話』だと、『人間が動物と出会って別の国に行く話』と言い換えても間違えではないですよね。
役割で考えるなら『主人公が案内人と出会って案内人の国に行く話』でもいいでしょう。
極端な話AがBと出会って…みたいな感じでも構いません。
よくわからん。って言う人はとりあえず抽象度を上げればOKです。
構造が分かればあとはそこに適切な言葉を当てはめるだけの簡単な作業です。
これはストーリーを考える時にも応用出来る考え方なので、覚えておくと後々役立ちます。
構造のパターンについては、色んな既存作品の抽象度を上げて参考にすると良いでしょう。
アイデアの具体度について
抽象的なアイデア、具体的なアイデアそれぞれメリット・デメリットがあります。
まず抽象的なアイデア。
発想の幅を具体的なアイデアよりも広くすることが出来ます。
例えば上のアイデアだと、『不思議な猫』まで考えてしまったので、他の動物…犬やタヌキ、キツネに変えよう。という発想が生まれにくくなってしまいます。
何か物語に広がりがない。とかこれじゃないんだよな…って言う人は、最初は大体方向性が見える程度の曖昧なアイデアの方がいいですね。
次は具体的なアイデア
基本的にアイデア作りで迷走する人は具体化した方が良いです。
曖昧すぎると、Aも良いしBも良い…どれにしよう。と迷ってしまって、いつまで経っても次のステップに進めません。
具体化することで、やっぱりA案の方が良いな…。と判断がしやすくなります。
どちらもメリット・デメリットもありますし、正直状況次第なところもあります。
なのでこの辺りは経験を積んで自分で試して調整して下さい。
良く知っているもの、身近なものをヒントにしよう
物語のネタは自分のよく知っているもの、身近なものをヒントにすると案外良いネタが思い浮かびやすいです。
学生なら学校や学生生活(部活)、恋愛関係。社会人なら仕事や付き合い・家族などですね。
そういうのとは無縁です。という方は、趣味や何か昔からこだわっているものをヒントにしましょう。
知らないものや興味のないものを書くのは非常に難易度が高いので、基本的には自分が詳しく知っているものから書くネタや題材がないかと探してみて下さい。
詳しい物がオススメな理由
結論から言うと、詳しいものの方が書きやすいからですね。
詳しいことほど案外、皆もやってることだしなーと思うかもしれません。
ですが同じ国、同じ文化圏に住んでいるといっても、人のやっていることは割と違うものです。
よくある仕事や趣味でも、大抵やったことがある人よりない人の方が多いです。
自分が詳しいと自信があるものなら、勇気を出して書いてみて下さい。
物語の題材ヒント
学生さん
学校・部活
学生さんは迷ったらまずこれを題材としてください。
何か部活をやっているなら、それで書きましょう。
ただメジャースポーツはそれなりに内容が知られているので、意外性を付くか深みのあるネタにする必要があります。
帰宅部の人なら、自分と周囲との違いを描写するというのも面白いかもしれません。
親・兄弟・身内
性格が個性的な場合や、仕事が珍しい場合は良い題材になります。
例えば将棋の渡辺くんとかですね。
将棋棋士の奥さんが描かれている漫画ですが、将棋棋士と言えば約200人程度しかいない珍しい職業です。
他にも色々と珍しい職業はあると思うので、もし親や兄弟が該当する場合はネタにしてみるといいかもしれません。
注意点として主観視点(自分がその人になったつもり)で書く必要はありません。
身内が特別な場合でそれをネタにする場合は、傍観者視点で書く事に意味があります。
恋愛関係
気になる先輩とか後輩がいる場合は、思い切って書いてみるといいかもしれません。
ネットの見知らぬ誰かとかアイドルでもいいでしょう。
参考になりそうな作品は学生ならからかい上手の高木さんやその着せ替え人形は恋をするが筆者的にはお勧めです。
ただ恋愛物はある程度自分とは切り離した方が良いですね。自分を出し過ぎると独りよがりの話になりやすいです。
投稿まで考えている場合は、このジャンルは特に描写が対象年齢に合っているか注意して下さい。
社会人
仕事
何でも構いません。ごく一般的な職業でもOKです。
当たり前ですが守秘義務や置かれた立場というものがあると思うので、何でもかんでも書くのは不味いです。
学生と違ってその職業を経験したことがない人が必ずいるので、どんな職業でも需要はそれなりにあります。
ただ、珍しい職業でない場合はその代わりに職場に個性的な人を配置しないと、物語としては盛り上がりに欠けます。
アニメでいうと例えばWORKING!!とかがそれに該当しますね。
レストランという割とメジャーなところが舞台ですが、登場人物が皆かなり個性的な面々で構築されています。
趣味
動きのある趣味なら基本的に何でもOKです。
動きのない趣味はそのまま見せると色々と辛いので、見せ方を工夫するならOKです。
注意点としてスポーツ系はやってることが学生と同じでは厳しいです。
なるべく学生では出来ない展開にして下さい(ただしドロドロ系は人を選ぶので注意)
例えば、還暦のおじさんが学生時代に憧れてたけど理由があって出来なかったスポーツに挑戦する。
歳や怪我が原因で現役引退したけど今は地方で…でも再び大舞台を目指して努力する。
とかそんな感じですね。
大人で趣味系の作品は少ないので、女子高校生が主人公の趣味系アニメを参考にするのが手っ取り早いです。
筆者がパッと思い浮かぶのは釣りバカ日誌とふたりソロキャンプくらいですね。
大人になると趣味が仕事で仕事が趣味みたいな感じになっているので、はっきり趣味っぽい作品はあまり無いような気がします。
あと学生が主人公のアニメをそのまま参考にすると少しキツイ作品になってしまうので、しっかり変換は忘れずに。
動きのない趣味はとにかく見せ方に注意しましょう。
アニメ鑑賞とか映画鑑賞なら例えば、わざわざレンタルしに行く。ただそこのレンタル店の店員が変り者で…とか気になってる人で…とか、他の要素と絡めて下さい。
なるべく世界を広げたくない場合は、マンションかアパート住まいで実は隣近所の人が同じ趣味の持ち主か逆にアニメとか映画嫌いで…とかそういう展開だと比較的話が広げやすいです。
生活
病気や悩み、介護など何かしら課題がある人は、それらをテーマに気持ちの整理を兼ねて一度考えてみると良いかもしれません。
ただこのテーマは小説は正直向いてません。エッセイとか漫画向けです。
どうしても書きたい場合は、他の要素と組み合わせましょう。
表では華々しい活躍をしているが実生活では…とか、幸せそうな生活しているけど、実は誰にも打ち明けられない悩みがある。とか
そんな感じですね。
病気や悩み、介護だけになると文字の場合、雰囲気が非常に重苦しくなるので大半の読者がついていけません。
それ以外に何か興味を引く舞台装置的なものが必要です。
恋愛
学生とは違い、大人にしか出来ない何かを付与しましょう。
大人特有の社会的立場とか面倒なしがらみとかでも構いません。
ギャップ狙いで『学生時代に恋愛経験が無くて、不器用とか子供らしい恋愛』もいいですが、漫画やアニメ向きのアイデアですね。
あとターゲットは男性なのか女性なのかある程度絞って書いた方がいいですね。女性にとって大好物でも男性は無理っていうのは結構多いです。もちろん逆もしかりですが。
アイデア例
じゃあ実際にどうアイデア化するの?
という疑問が浮かぶ人もいると思いますので、実際に以下の例から物語のアイデアを考えてみたいと思います。
よければ皆さんも一緒に考えてみて下さい。
- スポーツ
- 仕事
アイデアを考える場合はこれでは抽象度が高すぎるので、より具体化する作業が必要になります。
具体化する時はまず自分の好きな物。興味のある物を優先してあげるとその後がやりやすいです。
いきなり野球の友情物でー、と言ったように具体例が思い浮かべば良いですが、大抵はちょっと違うな…と思うことが多いです。
その場合は、抽象度と具体度を人称のように視点レベルを変えて考えてあげると、良い案が思い浮かぶ場合があります。
ネタを絞り切れない場合は、参考にして下さい。
スポーツ
私のやり方だとまず自分の興味のあるスポーツを挙げます。
私の場合だと体操、野球、バスケ、サッカー、自転車、水泳、卓球辺りでしょうか。
大体が漫画もしくはアニメの影響ですね。
野球作品であればメジャー、タッチ、ドラベース、エース!辺りが思い浮かびます。
より最近の作品だとBUNGOとかもありますね。あるいは子供世代のメジャーセカンドでもいいかもしれません。
私の中ではエース!が一番印象深いので、野球は青春要素ありきのスポコン的展開が好きです。
というか基本的に学生のスポーツ物は、青春というか恋愛要素入ってる物が多いですね。
ただ今の時代、燃え尽きるまで頑張る作品がウケるかなという不安があるのと、野球についてそこまで詳しくはありません。
ですので最終的には、漫画で野球に対する憧れを持っていた男性もしくは女性が、思い切って大人になってから草野球を始める野球初心者的な話を書くと思います。
そうすれば登場人物と同じように学びながら作品を作ることが出来るので。
ここまで考えると後は連鎖的に、始める切っ掛けをどうするか。とかすぐにチームに所属させるべきかとか、具体的な内容が思い浮かんでくるようになるはずです。
あとスポーツ物の注意点は、時代に合わせたアップデートが特に必要な分野。ということでしょうか。
実際のスポーツも技術の発展の影響をかなり受けますから、時代錯誤なものは読者からの共感が得にくいです。
どうしてもそういう要素を入れたいなら、ぶっ飛んだ世界観にする必要があります。
仕事
基本自分のやってる仕事を基軸に考えるとやりやすいです。
学生さんならバイトや係、委員会のお仕事を参考にして下さい。
まずはやっぱり既存の作品を思い浮かべますね。
WORKING!!、ガイコツ書店員 本田さん、舟を編む辺りでしょうか。
基本的にガッツリお仕事してます! っていう作品は少ないですね。
ほぼ必ず人間関係模様を絡めています。
多分それは仕事仕事! になると説明っぽくなるし苦しいし何より面白くないからでしょうね。
例外として消防士や潜水士など、かなり特殊性が強くてアクションもある仕事であれば、ガッツリ仕事メインでも問題ないと思います。
動きの少ない仕事だと画や話が持たないですね。
とりあえず特殊性の強い物は説得力が必要、つまり詳しくないと書けないので、コメディ色の強い作品にするかな。
そうなるとWORKINGを参考にして、好きな男の子に業務用スーパーのバイトを誘われたけど、思ったより大変で辞めたい…けど彼の笑顔を見る為に頑張る。
とかそんな感じのアイデアが思い浮かびますね。
書いておいてなんですが、正直微妙かなとは思っています。
ただ大抵思い浮かぶアイデアはそんなものですね。
まとめ
今回の記事では
- アイデアや題材となるヒント
- 作り方の例
この二点を紹介しました。
物語のアイデアや題材探しはなるべく毎日意識しましょう。
あと時代に合わせたアップデート(更新)が必要です。
そういうのが苦手な人は更新が必要ない・必要性が少ない分野で戦いましょう。
ガチガチの歴史物とか過去の考察物とか戦記・戦争物とかですね。あとはストーリーの部分を現代人が好きそうな物にすればOKです。
どうしても難しい人は共作することも考えましょう。
アイデア作りはパズルとか連想ゲームみたいなものなので、ある程度訓練で上手くなるはずですが、駄目だと思うなら他人に頼り切るのもアリです。
次の講座では実際にアイデアを作っていきます。今回の記事を読んでアイデアや題材が何となくわかった人は次の講座に進んで下さい。