人称とは
物語を書く際に必ず決めなければならない事が人称(視点)です。
小説では主に以下の人称を用いて書きます。
- 一人称
- 三人称(一元視点)
- 三人称(神視点)
別の言葉で表すと人称とは視点みたいなものです。
自分の視点が一人称。誰かの頭の上に360度カメラが付いたような視点が三人称(一元視点)。Google mapやearthなどのように好きなところを見れるのが、三人称(神視点)です。
とりあえず最初は、そんな区別があるんだなーと思っていただければ大丈夫です。
ゲームに詳しい人向けに言うと、FPSが一人称視点。TPSが三人称一元視点、信長の野望みたいなシミュレーションゲームが三人称神視点な感じですね。
正式な意味は違うと思いますが、小説や漫画での人称(にんしょう)とは誰の視点、どの視点で物語を語るかどうかだと思ってください。
難しい部分なので、とりあえず説明を聞くだけ聞いて、あとは実際に書いて慣れていくやり方が良いと思います。ですので、この場で100%理解する必要は一切ありません。
物語を書いたことのない人に、文字で説明してもさっぱり分からない部分だと思うので、戦場のヴァルキュリア4というゲームを参考に各人称についてもう少し詳しく解説したいと思います。
一人称
戦場のヴァルキュリア4公式サイトより引用
このような感じの主観視点が一人称の視点です。
自分の視界以外の情報は見えませんし、他人の気持ちなどもわかりません。気持ちを推察するのはOKです。
出来る事
・自分が見たこと・聞いたことの描写
・自身の心情描写
気を付ける事
・他人の心理描写(区切りがある場面なら可)
・自分の知らない事の描写
メリット
・臨場感がある
・情報を制限出来る
デメリット
・周囲の状況がわからない
・情報が制限される
他にも色々あると思いますが、大まかにはこんな感じです。
三人称に比べると描写可能な情報が限られるので、初心者にも比較的書きやすい人称です。
逆に慣れてくると情報が限られることで、世界が広げられずに書きにくさを感じる場合もあります。
臨場感がある一方で、状況説明には向かない人称なので日常系小説等にお勧めです。
呼称
一人称の場合以下の例のような呼称を用います。
自分の事
私、僕、俺、儂、ワシ、オレ、我、某(それがし)、おいどん
相手の事
相手の名前、アイツ、コイツ、あの野郎、あの人、彼、彼女
現実では自分のことを名前で言う場合もなくはないですが、小説の場合混乱する場合があるのであまり得策とは言えないと思います。
向いた作品
・日常系
・恋愛系
一人称は主観となっている人間の感情をダイレクトに書けることが、他の人称にないメリットです。
そのため、人物の感情描写が重要になる系統の作品に向いています。
逆に色々説明したり描写する必要がある、正当派の戦記系やSF系は正直向きません。
三人称
さらに分けると三人称一元視点と神(作者)視点の二種類があります。
三人称一元視点は一人称と三人称の良いとこ取りをした感じの視点です。
神視点は登場人物とは一歩距離を置いた物語の解説役みたいなポジションの視点です。
状況説明や複数の人物を同時に動かしたい作品に向いた人称です。
一元視点
戦場のヴァルキュリア4公式サイトより引用
一元視点とはこのように決まった登場人物の後ろにカメラがあるようなイメージの視点です。
神視点は舞台を俯瞰、上から見ている感じです。なので神視点と比べるとやや距離感が近い視点ですね。
出来る事
- 視点を合わせている人物の心理描写
- 人物が知っていることはもちろん、知らない事の描写も一部可能
気を付ける事
- 他人の心理描写(区切りがある場面なら可。それ以外の場面では推察はOK。断定はNG)
- 視点の移動(コロコロ変わると読者が混乱する)
- 人物の心理描写ばかりすること(これなら一人称した方が良いと思われるレベルのは駄目)
メリット
・色々描写出来る
デメリット
・書き方を間違えると読者が混乱しやすい
一人称と同じで視点を合わせている登場人物の心理描写が可能です。また三人称の良い面を取り入れて、視点を合わせている登場人物が知らないことも描写することが出来ます。
ただし、神視点とは違って章などはっきりと区切りがつく場面以外では、他人の心理描写をすると読者の混乱を招く可能性があります。
神視点
戦場のヴァルキュリア4公式サイトより引用
神視点とは画像のように上から見下ろしている感じの俯瞰の視点のことです。
一人称や一元視点とはさらに距離を置いたいわば傍観者的な視点です。
出来る事
- 登場人物の心理描写(一歩距離を置いたもの)
- 登場人物の知らないことの描写・断定
気を付ける事
- 主観的な描写
メリット
・基本なんでも描ける
デメリット
・没入しにくい
神視点と名の付いている通り今までの視点では、推察しか許されなかった他人の心理描写についての断定も可能です。読者が混乱をきたさない限りはコロコロ人物の視点を変わっても構いません。
ただし、人物の中に入り込みすぎる(心理描写しまくる)のはNGです。
例えば、『Aは悲しんだ』という描写は出来ます。が『僕は悲しんだ』という人物に入り過ぎた描写は出来ません。
神視点では主観っぽい描写は基本NGです。客観的目線で書く必要があります。
呼称
三人称の場合以下の例のような呼称を用います。
自分の事
自分の名前、彼、彼女、男、女、謎の人物
相手の事
相手の名前、彼、彼女
一人称の場合においてもそうですが、呼称の使い分けは抽象度を変化させたい場合や相手との関係性、あえてボカしたいそんな意図で使い分けると分かりやすいですね。
また三人称の場合、どうしても一人称よりも人称を連呼するケースが多いです。
連呼すると誰の発言か分かりやすい一方、同じ表記が連続することで読者にしつこい印象を与える可能性があります。
自分の作品にそんな傾向を感じた場合は、商業作品を参考に可能な限り削る努力をすると、読みやすさの向上が期待出来ます。
人称(視点)は最初は一人称がお勧め
一人称は自分の感じることや視界に映ることしか描写出来ません。
つまり書ける情報量が少ないので、何を書けばいいかわからない。
といったような問題が起こりにくくなります。
三人称視点は一人称に比べると書けることが色々と多いので、慣れない内は色々とミスしやすいです。
ですのでとりあえず最初の内は、一人称で書いてみることをお勧めします。
まとめ
色々説明しましたが、これらはあくまで先人が決めたルールや定義的な話です。
このルールに従って書けば、比較的読者が読みやすい物語を書けますよーというだけで、絶対にこのルールに従って書かなければならない。ということではありません。
実際のところ、読者が混乱せずに言いたい事が伝わるならどのような書き方をしてもかまいません。
ただ最初のうちは基本やルールを守らないと、読者が混乱をきたす可能性が非常に高くなります。
まずは一度実践して基礎やルールがしっかり身に着いたと思った段階で、細かい部分を自分流に改良していきましょう。
正直書いたことがない人からしたらさっぱりな部分だと思うので、この辺りは聞くよりも書いて慣れろ的な部分だと思います。
人称の感覚が分かりにくい人はFPS、TPS視点に切り替えられるゲームを一度やって下さい。
視点の違いによるメリット、デメリットを身をもって体感出来るはずです。
ゲーム解説
戦場のヴァルキュリア4は、2018年3月21日にPS4にてSEGAから発売されたシミュレーションRPGゲームソフトです。
タイトル | 戦場のヴァルキュリア4 |
発売機種 | PS4/Nintendo Switch/Steam |
ジャンル | シミュレーションRPG |
タイトルに4と銘打たれている通りシリーズ物の作品で、今回が4作品目になります。
本作は今までのシリーズ作品と世界観は共有されていますが、小説で言うところの視点が違います。
ですので、今までのシリーズ作品をやったことが無い方でも比較的楽しみやすい作品です。
アクション的な要素のあるシミュレーションRPGですが、そこまで難易度が高いというゲームではありません。ですのでアクションゲーが苦手と言う方にも比較的お勧めしやすい部類のゲームです。私自身プレイしたことのあるゲームですが、大変だなと思う場面はいくつかあっても難易度が高いと感じる場面は特にありませんでした。
ただ、比較的こういうゲームに慣れている方からすると難易度が高いではなく単に大変だ。と感じる面もあるかもしれません。
一応同じマップを何度も繰り返して兵科をレベルアップさせたりもできるので、昔のシミュレーションゲーみたいに詰むことはありません。
どんな感じのゲーム?
ストーリーは王道です。今作は……細かい部分はあまり深く考えないで、純粋な気持ちで楽しむ部類のストーリーかなと思います。映画で例えるならジュラシック・ワールド/炎の王国とか移動都市/モータル・エンジン、アクアマンのような映像やバトルを楽しむ作品ですね。
ゲームはどうしても…という方は、シリーズ初期作であればアニメ化もされているのでそちらから入ってみるのもアリです。
PS4/Switchの方は2020年に発売された新価格版の方の方がお安く購入可能です。
パソコンを持っている方なら、PCゲーマー御用達のSteamでセール時であれば2000円切りで購入出来る事もあります。DLCも全部入ったコンプリートエディション版なので追加でDLCを購入する必要もありません。(日本語にも随分前から対応されてますのでご安心)